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〈前編〉パパもママも小学生になって一緒に授業を体験しよう。すぱっくおやこ小学校、開校の時間です。

目次

すぱっくおやこ小学校に入学しました〜(仮入学かな??)

今回のご紹介させていただくのは『すぱっくおやこ小学校』。まずは皆さん、SPAC(スパック)はご存知ですか? SPACとは公益財団法人静岡県舞台芸術センター(Shizuoka Performing Arts Center)の略。静岡市のグランシップ内に劇場のある県立の劇団です。

グランシップにある静岡芸術劇場
静岡芸術劇場のステージ

SPACでは静岡芸術劇場での公演の他、県内各所で演劇公演を行ったり、ワークショップなどを行ったりしていますが、去年から「すぱっくおやこ小学校」というアートプロジェクトを行っています。

実は私、去年のおやこ小学校に娘と遊びに行き、一生懸命遊んで大笑いしてすごく楽しかったのもあり、この魅力を全ての人類に伝えるべく、今回はおやこ小学校に2日間の密着取材をさせていただきました。…ん〜、密着取材というとちょっと堅苦しいですね。見学兼取材ということで仮入学とさせていただきましょう。

キ〜ンコ〜ンカ〜ンコ〜ン♫

そろそろ開校の時間です。ぜひ『すぱっくおやこ小学校』の魅力を感じてくださいね〜。

今回のすぱっくおやこ小学校in浜松の会場は、浜松科学館みらい〜らで行われました。

おやこ小学校って何? お父さん、お母さん。今からお子さんと同級生です。

『すぱっくおやこ小学校』。先ほどすぱっく(SPAC)の説明はしましたが問題は後半。おやこ小学校の説明をしなければなりません。

「おやこ小学校」とは小学生とその親が〈同級生〉隣一緒に学び合うアートプロジェクト。コミュニケーションデザイナーのYORIKOさんが2016年に香川県高松市で立ち上げ、2019年からは東京都豊島区でも実施。2022年より静岡版として「すぱっくおやこ小学校」がスタートしました。


YORIKOさんが代表を務める株式会社ニューモアによるおやこ小学校のページ

YORIKOさん

おやこ小学校には3つのポイントがあります。

  • 親と子は同級生。一緒の目線に立って親子の理解を深めよう。
  • 地域の専門家が講師。学校で習わないことを教えてもらおう。
  • ゆるやかな手作り教室。リラックスして遊んでね〜。

さて、この3つのポイントのうち、地域の専門家が講師という項目がありますね。これは学校にいる専門的な知識を持った先生がやってきて難しい計算式を教えてくれる…わけではありません。

今回授業をしてくれるのは、SPACで演技を行う役者の皆さんや、舞台の音楽を作るミュージシャン。更にさらに今回の会場でもある浜松科学館からマッドサイエンティスト…じゃなかった‼︎ サイエンスショーでもお馴染みのウエちゃんが先生として参加してくれるんです。演劇人と科学者の先生とおやこ小学生たち。早くも混沌としてきて面白くなってきました。

今日はこちらの先生方に授業をしていただきます。

担任の先生 いっぺいちゃん(春日井一平)
体育と国語の先生 こーちゃん(山崎晧司)

1日目、1時間目は体育の時間です。

すぱっくおやこ小学校は2日間(2週末)に分けて行われます。

担任の先生はSPACの俳優いっぺいちゃん。ここは学校なので出欠の挨拶から始めましょう。まだまだ緊張をしている子どもたち。少し声がこわばってますが元気に返事ができました。

みんな元気に手を上げれました〜

それでは1時間目は体育の授業。いっぺいちゃんから国語+体育の先生こーちゃんにバトンタッチします。

こーちゃんも舞台俳優。「舞台俳優って何をする人か知ってるかな? そう、舞台の上でお芝居をする人のことだね。お芝居をすることを英語でPLAYと言います。PLAYってどういう意味かわかるかな?」「遊ぶっていう意味?」「正解、僕は遊ぶことを仕事にしています。今日は一緒に遊びましょう‼︎」

まずは本当に役者だということをわかってもらうために、衣装を纏いメイクをします。これ、なんの役かわかりますか?

2本のツノに赤い身体。そして虎柄のパンツ。さてこれは何の役でしょう。

そう、鬼です。鬼といえば鬼ごっこ。

いきなりですが、鬼ごっこのスタートです。

全力疾走する鬼(笑)

ここから阿鼻叫喚。大人・子ども関係なしに全力で追い回す赤鬼こーちゃん笑。怖がってドン引きしちゃう子も。本物の鬼より怖いですね〜。さて、ここには演劇の魔法が使われています。それは架空の鬼という存在を信じる力と信じさせる力。こーちゃんが鬼を演じることで、参加者は本当の鬼が追いかけてくると思って恐怖を感じました。

せっかくなので、一切の妥協なく大人・子どもを追い回す鬼の姿を見て見ましょう。

次はもう少しソフトに想像の力で遊びましょう。あっちとこっちで手をグルングルン回しています。だんだんと大縄跳びの紐が見えてきました。

最後の女の子は縄が無いのに怖くて入れない。これだって想像の力です。

人はそこに物がなくても想像することで『在る』ことにできます。遊ぶことは想像力。今の時代テレビゲームでもなんでもまるで現実世界のような世界を手のひらの端末で遊ぶこともできますが、もっともっと無限に広がる想像の世界で遊ぶことだって可能なのです。

2時間目は国語の授業だよ〜

鬼ごっこに縄跳び。もぅみんなグッタリです…というかお父さんお母さんがグッタリしてますね笑。2時間目は国語の授業。さて何を勉強するのでしょう。

先生は引き続きこーちゃんです。さて、テレビモニターにヨーロピアンなおじさんの写真が映し出されました。一体この人は誰でしょう…。シンキングターイム‼︎(記事を読んでいただいている皆さんも一緒に考えてね。)

ヒントは…演劇に関係する有名人です。ん〜もう少しヒント。「シェ」で始まる名前です。シェーのイヤミじゃないですよ。(これわからなかったらスルーしてくださいね。説明するの恥ずかしいので…)

答えは…シェイクスピア。ウィリアム・シェイクスピアです。皆さん一度は名前を聞いたことがあるんじゃないかな? ロミオとジュリエットの物語を作った劇作家だと言えばわかりやすいですよね。

シェイクスピアが残した、こーちゃんの好きな言葉があります。『この世は舞台、人はみな役者。』この広い世界の中で誰しもがその役割を演じています。お父さん役、お母さん役、小学生役。誰もがその役割を演じて世界はできています。その役割を演じ続けてもいいし、その役割に疲れたら演じることをやめてもOK。この世界には遊び場もいっぱいあるし、逃げ場だってあるんです。

それでは今回は、おとな小学生の皆さんに、過去の経験をもとにした演技をしてもらいます。野球をやっていたお父さん。保育園で働いていたお母さん。さっきまでお父さん・お母さんという役としか見ていなかったのが、別な役をしていたという発見に子どもたちの興奮が隠せません。

お母さんは『ステーキレストランさわやか』の店員さん″役″。お母さん″役″じゃないときだってあるんです。

こうして遊びながら親と子がお互いを発見し、会話がうまれていく様子は見ていてとても面白かったです。

最初に比べ徐々に緊張がほぐれていき、この場所で初めて会った参加者同士も関係性が生まれてきたように感じます。しかし今日の授業はもうすぐ終了。最後はチーム戦。3チームにわかれ複数人で何かの役を演じてみます。

最初に比べ、たった1時間ほどで緊張が溶け、それぞれのキャラクターが出てきました。みんな元気いっぱいです。

それぞれのチームにこっそりと何かの『役』が渡され、内緒で演技プランを練り上げます。誰が何の役をやったら面白いかな? 会って2時間目の即席チームだけどストーリーを考える人、配役を考える人、上手に演技する人など、いつの間にか立派な演劇人になってきました。

子ども達も積極的に意見を出します。

それでは発表の時間です。最初のチームは漁師さんを演じてくれました。新鮮な魚がビチビチと釣れていきます。

必死に釣ろうとする子ども達と、ナイス躍動感のお母さん。大迫力です。

次の役は何でしょう。誰かが寝転がってみんなは神妙に手を合わせてます。答えはお坊さん。寝てるんじゃなくてお亡くなりになったんですね〜。

漁師が″動″なら、こちらは″静″のお芝居。みんな手を合わせてナンマイダ〜

最後はちょっと写真だと雰囲気が伝わりづらい…かな。かわいい女の子のお客様がトングを持って買い物をしているみたい。次から次へと焼き立ての商品が追加されていきます。答えはパン屋さんでした。

パン屋さんのことをちゃんと観察できている演技でした。

どのチームも「どのように演技をしたら人に伝わりやすいか」「どのように演技をしたら面白いと思ってもらえるか」短い時間ながら、ちゃんと作品として完成させていました。

演劇と想像の魔法。面白いですよね。もっともっと遊んでいたいですが、初日の授業はここでおしまい。そして困ったことにこちらの記事もだいぶ長くなってしまいました。2日目の授業は後編でお楽しみいただけたらと思います。

それではアディオス‼︎


〈後編〉パパもママも小学生になって一緒に授業を体験しよう。すぱっくおやこ小学校、開校の時間です。

無事に初日が終了。みなさんお疲れ様でした〜。

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