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原始日本へタイムトリップ!復元家屋が建ち並ぶ蜆塚遺跡と伊場遺跡はロマンたっぷり♪

目次

太古の日本へ!蜆塚遺跡と伊場遺跡。

お天気が良く行楽日和が続いた今年の秋。

我が家は公園散策に行ってきました。

思えば近くに住んでいながら一度も行ったことがなかった、浜松の遺跡『蜆塚遺跡』と『伊場遺跡』へです。

どちらも浜松市の中区にあって、蜆塚遺跡から南東へ約3km、やや下った所に伊場遺跡があります。

《蜆塚遺跡》は、海抜29m。

佐鳴湖の東側、ホワイトストリート沿いの蜆塚公園の中にあります。

縄文時代後期から晩期(紀元前2000年〜紀元前1000年くらい)に栄えたようで、当時の暮らしを伝える貝塚を保存。

《伊場遺跡》は、海抜2.6m。

雄踏街道沿いにあるJR東海浜松工場の、すぐ南隣りにあります。

城山遺跡・梶子遺跡・鳥居松遺跡などの8つの遺跡をあわせた伊場遺跡群の1つです。

伊場遺跡の環壕集落(3重の堀に囲まれた集落)は紀元150年(弥生時代)くらいから栄えたそう。

また、紀元7世紀後半(飛鳥時代)〜11世紀くらい(奈良時代)までのものもたくさん発見されているんですよ。

こんなに近い距離こに2つも遺跡が存在するなんて、それだけでワクワクしてしまいます。

浜松の長い歴史を見つめる蜆塚公園

蜆塚遺跡は蜆塚公園内にある国指定史跡で、園内には約4000年前(縄文時代)の貝塚が保存されていたり、浜松市博物館「はまはく」が建っています。

近くには佐鳴湖があり、

佐鳴湖までの距離は現在は約1km。徒歩で15分くらいですが、立派な貝塚があることから、3,000~4,000年前は佐鳴湖の入江がもっと近くにあり海とつながっていたことや貝がたくさんとれた事が想像できます。

今回は蜆塚遺跡と伊場遺跡にある、復元された建物について時代を追って注目したいと思います。

題して、建物タイムトリップツアー☆

円形に柱の跡が出土したものをもとに復元された縄文時代の竪穴住居。《蜆塚公園屋外展示》

実際に中に入れる竪穴住居!

まずは縄文時代の竪穴住居から。

蜆塚公園では1955年から始まった発掘調査で、4ヶ所の貝塚と墓地30基と共に、建物の跡が28棟見つかったそう。

建物の跡には柱の跡が残されていて、

それを頼りに復元されたのが竪穴住居。

蜆塚公園にはそうした建物が5棟建っていて、入口が開いているときは中に入ることができるんですよ。

少し低い開き戸の入口から腰をかがめながら中に入ってみると、中は思ったより広く、

太い木と木をヒモでくくって躯体を作り、その周りに分厚く草を葺いているのがわかります。

釘が無かった縄文時代には実際にこうやって家を作ったのかもしれませんね。

四角く柱の跡が出土したものをもとに復元した、縄文時代の竪穴住居。《蜆塚公園屋外展示》

上の写真も同じエリアにある復元家屋で、こちらは柱の跡が四角く出土したものを復元。

1000年の間に建て方が変わっていったのでしょうか?

こちらも中に入ることができて、中の空間の広さや暗さ、温度や湿度といった空気感を体験できます。

こちらの建て方は円形の家と比べて屋根と壁の間に隙間ができていて、風が侵入するため冬は寒そう。

天井は意外と高く、閉塞感はありません。

床の広さは6畳くらいに感じましたよ。

この空間に何人くらいで住んでいたんだろう?とか、

土の床は固くて冷たそうだなぁ。ラグが欲しいな〜。

なんて当時の人々の暮らしを想像してみませんか?

その後に、同じ蜆塚公園内にある「はまはく」に入館して、当時の人々が使っていた土器やアクセサリーなどを見るとまた楽しいですよ。

蜆塚遺跡から発掘された縄文時代の土器。《浜松市博物館内展示》

弥生時代〜平安時代の遺跡、伊場遺跡へ。

次は弥生時代。

約700年続いた弥生時代、

その頃世界では、紀元前221年に秦の始皇帝が中国を統一しています。

弥生時代はキングダム(週刊ヤングジャンプの人気漫画)の時代なんですね!

さて浜松では、

紀元150年ころ伊場遺跡の環壕集落が栄え、水稲耕作の集落が増えたそうです。

伊場遺跡は発掘が始まる前は湿地が広がっていたそうなので、水田に適した場所を求めて人々が伊場に移り住んだのかな?と想像してみました。

ここでは、柱を地面に直接埋めて固定した「掘立柱(ほったてばしら)」の建物の跡が多数発見されています。

湿気やネズミの侵入を防いだと思われる高床式の倉庫には、米や布など人々から取り立てた税を保管していたのかもしれないと、説明看板に書いてありました。

確かに教科書で習いましたが、その時写真で見ていた建物が、まさに目の前に立体になって建っています。

ぐるりと360°好きな角度から眺めることも、床の裏をのぞくこともできるんです!

この素晴らしさ、浜松育ちの方にはピンとこないかもしれませんが、贅沢な事ですよ〜!

伊場遺跡群からは、このほか古墳時代の埴輪(はにわ)なども発掘されています。

高床式倉庫の復元。《伊場遺跡公園展示》

律令制下の郡の役所「郡衙(ぐんが)」

次は、奈良〜平安時代へ。

下の写真も伊場遺跡に復元されているもの。

今から約1,300年前〜1,000年前の役所の復元です。

伊場遺跡の『伊場大溝(いばおおみぞ)』と呼ばれる、古代の小川の跡などからたくさんの木簡や硯(すずり)などが発見され、伊場遺跡群の中に古代の役所があったと考えられるそうですよ。

これまでの建物と違って屋根が木でできていますね。

壁の面積も広く、窓のようなものがあります。

入口は立ったまま出入りができるようになり、ずいぶん現代の建物に近づきました!

伊場遺跡群から発見されたものは、浜松市博物館に展示されています。

さて、伊場遺跡はここまで。

次の時代はまた蜆塚公園に戻りますよ。

奈良〜平安時代頃の役所の復元。《伊場遺跡公園展示》

現存する江戸時代の民家。蜆塚公園内『旧高山家住宅』

時代は大きく進み、いまから200年程前へ。

1800年代の人々はどんな家で生活を営んでいたのでしょう?

蜆塚公園内西側には、旧高山家住宅という古い建物があります。

これは、実際に使われていた住宅なんです。

村櫛町(浜名湖ガーデンパーク辺り)で漁業と農業を営んでいた高山家が住んでいたもので、

江戸時代終わり頃の浜名湖東岸では標準的な住宅だったそうです。

屋根は茅葺きですが、引き違い戸の玄関に掃き出し窓、軒(のき)など、現代の家と同じような作りなのがわかりますね!

軒下には物干し竿が下がっていたり、薪も積んでありますよ。

江戸時代から残る旧高山家住宅。《蜆塚公園屋外展示》

家の中は当時の暮らしがそのままに。

玄関を入ると土間になっていて、奥は台所。

土で作った竈(かまど)や木でできた流し台があり、流し台の横には水がめ…!?

水道が無かった時代は汲み置きの水を使っていたんですね。

部屋は2つあって、南側の部屋は12畳の畳の部屋で床の間なども備え、北側はござ敷きになっています。

お風呂やお手洗いらしきものは見当たりません。

壁は土でできていて天井は梁がむき出し。玄関の天井には農具が収納されています。 

籾(もみ)の選別に使う唐箕(とうみ)という木製の機械があったり、外で着る箕(みの)がかけてあるなど、当時の暮らしを目の当たりにすることができますよ。

玄関とひと続きの、土間の台所。

200年前の家は縄文時代の家とは違い、

内部が障子で区切られていて、ホッと懐かしさを感じる日本家屋になっています。

でも、木と木を組んだりくくったりして作った躯体に分厚く茅を葺いて作った屋根、地面を固めた土間など竪穴住居を思わせる部分も残っていますよ。

家が木や土や草という天然の素材だけで作られていた時代がいかに長かったかよく分かりますね!

靴を脱いで上がることができますよ。

江戸時代の民家で電気の無い暮らしを感じてみよう。

旧高山家住宅は、はまはくの開館日の9:00~16:30まで見学ができます。

家の中、外側、軒の裏などじっくりと見てみるとおもしろいですよ。

畳に腰を下ろして、天井を見ても現代の家との違いに気が付きます。

縄文〜江戸時代までの電気の無かった時代。

家の中は昼間でも薄暗く、テレビや電話、冷蔵庫なども無く…。

外には鳥たちのさえずりや子どもたちの声、木々を揺する風の音が溢れています。

人々は家では休み、疲れが癒えれば自然と外へと出ていったのでしょう。

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蜆塚遺跡と伊場遺跡を巡る建物タイムトリップツアーはいかがでしたか?

蜆塚公園の見つめてきた4,000年のうち、

縄文時代〜江戸時代までの3,800年間と比べるとすごく短い100年程の間に、家も私たちの暮らしもガラリと変わりましたね!

浜松市博物館では、

2020年12/8㈫〜2021年3/7㈰まで『道具たちの100年』という小展示を行っています。

原始の日本から現代まで、浜松の人々の暮らしを展示している「はまはく」でもロマンを感じてみてくださいね。

【浜松市博物館】

12/1〜12/7まで展示入れ替えのため休館しています。

〒432-8018 静岡県浜松市中区蜆塚四丁目22-1(蜆塚公園内)

【電話番号】053-456-2208

【開館時間】9:00~17:00

【休館日】 月曜日(祝日は開館)

 祝日の翌日、年末年始(12/29~⅓)

 臨時休館日あり。《詳しくはこちら》

【観覧料】大人…310円、中学生以下…無料。

 高校生…150円。団体割引等有り。

※特別展開催期間中は料金が変わります。

【駐車場】無料。蜆塚遺跡と合わせて45台。

 ベビーカーの方、はまはくへは第3駐車場が便利です。

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【蜆塚遺跡(しじみづかいせき)】

〒432-8018 静岡県浜松市中区蜆塚四丁目22-1(蜆塚公園内)

【駐車場】無料。はまはくと合わせて45台。

 復元家屋や貝塚の見学は第2駐車場からが近いです。

博物館開館日の9時〜16時半の間、復元家屋と旧高山家住宅、貝塚保存施設を見学できます。(無料)

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【伊場遺跡(いばいせき)】

〒432-8036 静岡県浜松市中区東伊場2丁目22-1

【駐車場】無料。10台。

いつでも立ち寄れる公園です。

蜆塚公園案内図。駐車場の位置の参考にされてください。

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