出来れば親子で観てほしい…
こんにちは。
オンモプラス・映画部のaranyosです。
今回ご紹介する作品は、只今公開中の映画『彼らが本気で編むときは、』です。
第６７回ベルリン国際映画祭のLGBTをテーマにした作品から選出される「テディ賞」で審査員特別賞に輝いた素晴らしい作品です。
（トップ画像は映画の公式サイトよりお借りしました）
LGBT（エル・ジー・ビー・ティー）って何？？
L：レズビアン (女性同性愛者）
G：ゲイ（男性同性愛者）
B：バイセクシャル(両性愛者）
T :トランスジェンダー（出生時に診断された性と自認する性の不一致）
自分の子どもが、いつかもしかしたら同性を好きになって悩んだりする日が来るのかもしれない…
子ども達の周りにそんな悩みを抱える子がいるかもしれない…
そんな時に、「大丈夫、そんなことだってある」と全肯定できるような人間であれたらなぁ、と思い、高校生・中学生の我が子と観に行ってきました。
難しいテーマの作品はちょっと…
と敬遠されるかもしれませんが、観ているうちに自然と心が解きほぐされていき、観終わったころには、LGBTについて今までとは少し自分の中での認識が変わっているかもしれない…
そんな作品です。
(画像は映画公式サイトよりお借りしました）
《ネタバレ無し ざっとあらすじ》
母娘2人暮らしの小学5年生のトモ。
ある日、母が恋人と失踪する。
しかしそれも、もう何度目のことか…
トモは母の弟である叔父のマキオの家に身を寄せることになる。
マキオは恋人リンコと一緒に暮らしている。
リンコは、男性の身体に生まれついたが心は女性、というトランスジェンダーだった。
最初、リンコとどう接して良いのか戸惑うトモだったが、
美味しい料理や可愛いキャラ弁を作ってくれ、毎朝トモの髪を結ってくれるリンコ。
そんな、母からも受けたことのないような愛情をいっぱいに感じるうちに、トモはリンコに心を開き、甘えるようになる。
そんなトモが可愛くて、愛おしくて愛おしくてたまらないリンコ。
母のような大きな愛で自分の姪であるトモを受け入れるリンコを、温かく、愛おしい眼差しで見守るマキオ。
2人は正式に結婚して、トモを養子に迎え、3人で家族として暮らしたいと願うのだった。
トモ・リンコ・マキオの3人で過ごす穏やかな日常。
それに反して、周りの反応は…
「あんな変な人と一緒にいるトモちゃんとは、二度と遊んじゃいけません！」というトモの同級生の母。
「生活環境がふさわしくない、との通報がありました」と3人の暮らしを強制立ち入り検査する児童相談所の人たち。
「トランスジェンダー」と「性的嗜好」をごちゃ混ぜにして、さも理解したようにふるまいながらも、リンコ達の心を踏みにじる人…
そんな理不尽な対応に合うたびに、
何かがおかしい…
それは違う！
と気付き、どうしようもない怒りを感じるトモ。
そんなトモにリンコは優しく穏やかに語り掛けるのだ。
「理不尽なことがある度に、私は編み物をするの。そうすると怒りは消えていくのよ」と。
そうして、3人は編む。
笑いながら、怒りを感じながら、しかし静かに編み続ける。
3人は家族になれるのか？
なぜ3人は本気で編み続けるのか？
作り手の熱い想いがこもっています
「リンコさんみたいな心のキレイな人を好きになってしまったら、もう他のことはなんでも良くなるんだよ…」
というマキオの言葉が、本当にその通りだと心から思える、そしてそれに気付かされる素晴らしい作品です。
監督である荻上直子（おぎがみなおこ）さんは、
トランスジェンダーの人が悩んでいるだけの映画を作るのではなく、女性として普通に恋愛をし、仕事をし、生活を営んでいる普通の女性を描きたかった、と話しています。
リンコを演じるのは生田斗真さん。
ご存知の通り、ガッシリした体格も良い方です。
喉仏の位置を上げて話すテクニックを研究したり、自宅でもスカートをはき、女性らしい所作が自然に出るように努力もされたそうです。
そんな努力の賜物でしょう。
作中での生田さんは「心も所作もきれいな女性のリンコ」以外の何者でもありません。
桐谷健太さんの演じるマキオの、落ち着いて人間を見る目と大きな包容力。
田中美佐子さんが演じる、常に娘リンコの味方であり、リンコの幸せを強く願う、強くて温かい母。
色々な立場の人の、様々な感じ方が、さらりと、しかし深く心に染み入ってきます。
上映期間は残りわずか…興味があれば是非！！
東海地区のみならず、全国の上映劇場はこちらから
http://kareamu.com/theater/
作品についてもっと詳しく知りたい方は
『彼らが本気で編むときは、』公式サイト
からどうぞ~