皆さん、最近本屋さん行ってますか?
近年は「活字離れ」とか、インターネットの普及によって出版業界が不況という話も聞きます。特に雑誌類(特にカルチャー雑誌)はだいぶ減ってしまった印象がありますね。
私はもちろんインターネットも使いますが、雑誌から得られる″自分の視点ではない角度から得られる情報″も大好き。編集者の癖が垣間見れる人間臭さや、「この雑誌を作っている人の勧めてくれるものなら、私も好きかもしれない」といったアナログならではの編集者と読者のキャッチボールってあると思うんですよね。
今回ご紹介したいのは、今年の2月1日に創刊された雑誌『tayutau magazine』。
大手出版社が出すような大部数の雑誌ではなく、限られた部数の雑誌ですが、私はこの雑誌がこのサイトを見ている子育て中の誰かに必要とされていると思います。
浜松の日常が少しだけ豊かになる雑誌です。ぜひお付き合いください─。
心が穏やかになるような時間を届けたい。tayutau magazine 創刊。
2025年2月1日に創刊された雑誌『tayutau magazine』は浜松の人や場所を紹介してくれる雑誌。
誰もが知っているような観光名所や有名人を紹介してくれるのではなく、誰もが知っているわけではないけど浜松という街に彩を添えてくれるような小さな声に耳を傾けてくれる雑誌です。
創刊号の特集は「気になるあの人に会いに行く。」
浜松で活動する″短編書簡″の作者、装幀室白亜 たなかこむぎさんを紹介してくれています。
″短編書簡″とはなんぞや? ですよね。
短編書簡について雑誌の本文中には、「こむぎさんがデザイン・制作したカードに、詩や文学の一節を印刷した手紙型のアートピース─」と紹介されていますが、文章だけの説明じゃイマイチ想像できないですよね。

ぜひtayutau magazineを手にとっていただき、写真と共に″短編書簡″の魅力を知ってください。
そして興味を持っていただいたら、実物の″短編書簡″を手にとってみてください。
実は私もたなかこむぎさんのファンでいくつか作品を持っていますが本当に素敵で、「浜松にこんな本を作ってる人いるんだ〜っ」って感動しちゃいます。
特集記事「まちをたゆたい、あの店へ。」では、浜松の市街地にある素敵な3つのお店を紹介。
- 読書空間 ひつじ日和
- gramme
- BOOKS AND PRINTS

どのお店も個性的ながらけして敷居が高いわけではなく、読者の私に寄り添ってくれそうな気がする。tayutau magazineを読みながら「浜松ってこんな居場所があったんだ〜」って思いました。
まちをたゆたうように、ふらふらと。
探してみると面白いお店があるものですよね。「居心地のいい場所」が見つかれば、そこで普段と違う人間関係ができるかもしれないし、自分の″好き″に没頭できる時間を持つことができるかもしれない。
そんな、外への扉を開いてくれる雑誌だと思います。

どんな人がこの雑誌を作ったのだろう。どうして作ったんだろう。
tayutau magazineの編集長は浜松でフリーランスのグラフィックデザイナーをしている安達彩夏さん。
このウェブサイトを見ていただいている多くの方同様に、現在子育て真っ最中です。
グラフィックデザイナーという職業上、冊子を作れる環境・デザインや写真撮影などのノウハウはあるものの、『雑誌を作る』ということは容易ではありません。一人だって大変なのが、小さなお子さんがいれば尚更の事。なぜ大変な想いをしても雑誌を作ったのでしょうか。

一つは『雑誌を作るのが夢だった』という事。
専門学校でデザインを学び、デザイナーの道を歩んでいた安達さん。
ふと学生時代に受けたインタビュー記事を見返した時に、将来の夢として「雑誌のデザインをしたい」と書いてあったのを見て当時の気持ちが再燃し雑誌作りの講座に参加することで、こうして創刊に行きついたそうです。
そしてもう一つ。
安達さんが人生の「3つの不安要素」という話をしてくれました。これはきっと多くの人に共感を得ると思います。
3つの不安要素とは『仕事』・『社会』・『人生』。
- フリーランスのデザイナーとして活動してきて、妊娠・出産で仕事を休んでいた私が戻ってもそこに仕事はあるのだろうか。
- 育児に向かうことで篭りがちになり、社会との接点を見失う事はないだろうか。
- 自分だけではなく、子どもを育てるという社会的責任のある人生。これから送り続ける事ができるだろうか。
これらを考えたときに、「子育てしながらも自分のペースで仕事(デザインの仕事)をしていたい」「地域の人やクリエイターと関わり合うことがしたい」「この先住み続けるであろう浜松の魅力を見つけて、浜松をもっと好きになりたい」と改めて考たことが、雑誌作りという仕事の原動力になりました。
したがって、この雑誌には浜松で活動する多くのクリエーター(ライター、カメラマンなど)が携わっています。
浜松にはこんな素敵な雑誌を作れる優秀なクリエーターがいっぱいいらっしゃるんですね。

浜松は豊かで面白い。皆さんも一緒に″たゆたい″ましょう。
安達さんへの取材中、「浜松って面白い人や場所がいっぱいありますよね」と話をしてお互いに頷きあっていました。
私もKOSODATE BASE 浜松で記事を書いていますが、一見なんてことなさそうな街な気もして実は面白い人や面白い場所でいっぱいっ‼︎ 私は浜松が大好きです。

安達さんに雑誌名でもある『tayutau(たゆたう)』という言葉への想いについてお伺いしました。
インターネット、SNSが全て悪いとは思わないけど、些細なことも白黒つけないといけないような雰囲気になってる事があって、曖昧なままグレーでいいんじゃないかなぁとか思いながら、そればかりじゃ疲れちゃう。
たまにはSNSから少し離れて、雑誌を通して心が穏やかに″たゆたう″時間を届けれたらいいなって思いました。」
『たゆたう』とはゆらゆら揺れ動く様子を言います。
私は安達さんの話を聞きながら、この雑誌を片手に浜松の街をたゆたう人たちを想像していました。
貴方の「気になるあの人」は誰ですか?
貴方の「たゆたい、あの店」は何処ですか?
素敵な雑誌です。手にとってみてくださいね。
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