プログラミングって大事なのは知ってる。だけど私にはわからない。
この記事を読んでいただいている方。私同様に子育て中の方が多いとは思いますが、皆さんお幾つくらいですか。私は40代です。ちゃんと言うと40代の後ろの方になってきました。
昔話をしたいわけではありませんが、私の世代ではパソコンというものが学校に現れたのは高校生の時。その時もパソコン部の方だけが使っていい鍵の閉まった部屋にパソコンがあり、とてもとても恐れ多くて触る事ができませんでした。(確か、1回くらいワープロ機能の勉強に使った気もする…)
若い世代のお父さん・お母さん方は驚くかもしれませんが、パソコンなんてものは素人が触ったらボカーンとショートして煙が出るような、玉手箱のような存在だったわけですよ(実際はショートもしなければ煙も出ないでしょうけど、そう感じるほど気軽に触れない道具だった)。
ましてプログラムだなんて。非常に偏見ですが、一部のパソコンオタクの文化だと思っていて…(ほんと、失礼ですね。ごめんなさい)、今って「プログラミングは大事」「小さなうちからプログラミングを教育にっ‼︎」って聞くじゃないですか。実際に授業にも取り入れているみたいだし。
ウチのムスメもプログラムに興味があるみたいで、それは応援したいんですが。なにぶん親の私はさっぱりわからない。わからないどころか偏見で凝り固まっている。そんな感じだから子どもの相談にも乗ってあげれない。さぁ困った‼︎
そんなおり、浜松市鴨江アートセンターが主催する『プログラミング×機械刺繍のワークショップ-KAMOE LAB-』というワークショップが行われていたので、「これなら取っ付きやすそうっ‼︎」と、ムスメと一緒に参加しました。
ファシリテーターは刺繍ユニットcode to ito (コードと糸)のお二人。
今回のこのワークショップをファシリテートしてくれるのは、刺繍ユニットcode to ito (コードと糸)のお二人。今回のワークショップはイベント告知後にすぐ予約が埋まってしまいました。皆さんも興味のあるジャンルなんですね。
code to ito (コードと糸)とは、ファブラボ(Fablab)で活動している竹村有希と井黒恵美による刺繍ユニット。ファブラボとは実験的な市民工房のネットワーク。世界各地にファブラボはあり、情報を共有したりネットワークを使って世界中で共通のプロジェクトを行ったりしています。竹村有希さんはファブラボ浜松。井黒恵美さんはファブラボみなとみらいで主に活動されています。
code to ito (コードと糸)のお二人がファブラボについて説明してくれている間、ウチのムスメは「早くやりたい。まだなのっ‼︎」とコソコソ言ってきます。「うるさいなぁ〜、もう少し我慢してくれよ」と思う反面、プログラミングをやる事がこれほど楽しみだったのか…と驚かされました。
ムスメが喋り続けるおかげでファブラボの話はあまり聞けませんでしたが…。ひとしきりお話しが終わったので早速やっていく事にしましょう。
可視化されたビジュアルで、プログラム初心者でも簡単にできる。SCRATCHで遊びながら学ぼう。
プログラミングと聞いて、皆さんはどのようなものをイメージするでしょう。私は映画マトリックスのような意味のわからない文字がグチャ〜と書かれているアレを想像しました。
正直…、今回取材するにあたって、これが悩みだったのです。わからないならわからないで仕方がないけど、あの細かな文字の羅列はわからないを通り越して意識が飛んでしまう…。私がポンコツなばかりに記事にならないかも…って。しかし、そんな心配はあっという間に無くなりました。
今回はSCRATCH(スクラッチ)というプログラム言語を使用します。SCRATCHはビジュアル化された命令を組み合わせていくだけなので、初心者でも直感的にプログラムをすることができます。
今回は刺繍のワークショップのため、刺繍の機能拡張を使っていますが、SCRATCHのサイトにアクセスすると刺繍だけでなくゲームや楽器演奏など様々な機能拡張が用意されているので、そのプログラムを使って遊ぶことも、改造して新しいものを創造して公開することも可能。
しかも、SCRATCHはオープンソースなので使用するのは無料なんですっ‼︎ 無料なんですっ‼︎ 無料なんですっ‼︎
…おっと、無料という事にテンションが上がりすぎてしまいました…。なので、ネットにアクセスできるパソコン、スマホ、タブレットさえあれば、ご自宅でも触ってみるのは全然可能です。
SCRATCHでプログラムをしてみようっ‼︎
code to itoの井黒さんより基礎的な操作方法の説明を受けたら、あとは各々でプログラミングをしていきます。今回の記事では操作方法については説明しません。(※多分文章で書くよりも触ってもらった方が直感的にわかりやすいと思うので省きます。どうしても事前に知りたい方は本なり購入した方がいいかな。)
作りたい図形を想像し、それに向けてプログラムを作ってみる。当然失敗はつきものなので、どうしてうまくいかないのか、数値を変えてみたりしながら直していく。これを何度も繰り返していきます。ムスメが何度も失敗しているのを見て「code to itoの2人に相談しちゃおうか?」と声をかけるのですが、ムスメに睨まれて「出来るからっ‼︎」と怒られます。
失敗は失敗でも、少しづつ前進していく感覚が掴めているらしく、自分でそれを解いていくのが楽しいみたい。私は「想像してたより簡単そうだけど、(ムスメは)ちゃんと出来るのかなぁ」なんて勝手に心配をしていたのですが、どんどん自分で考えて作っていく姿に感動しました。
刺繍の模様が出来たらデータを抜き出してミシンで刺繍をしてみようっ‼︎
プログラム初心者も多く時間も限られているため、それほど複雑なデザインの模様はできませんが、完成した人から刺繍を始めていきます。SCRATCHで作ったデータをダウンロードしてミシンに読み込ませます。
写真中央にあるのが、データから刺繍をしてくれるタッチパネル付きのミシン。
めちゃゴツイ『ミシンの親分』みたいな見た目ですがこれは業務用。もしご家庭で始めてみたい方がいらっしゃれば家庭用の機械もあるのでご安心ください。
好きな布を選んで…
布をセットし、作ったデータを取り込んで…
STARTボタンをポチッとなっ‼︎ …すると…。
ミシンが自動で刺繍をしてくれます。 最後にアクリルの入れ物に嵌めてキーホルダーにしたら完成っ‼︎
白くて細い糸だから、少し見ずらいかな? ウチのムスメ的には丸の中に星型のデザインを作りたかったんだけど、ちょっと歪になっちゃった。だけど100点満点。初めてのプログラムを自分の手で作り上げた達成感は次のステップへと繋がっていきます。大成功じゃないでしょうかっ‼︎(ムスメも気に入ってて、大事に飾っていますよ〜)
ギャラリーコーナー。一緒に参加された方の作品も見てみましょう。
今回のワークショップの参加者は大人から小学生まで多くの方がいらっしゃいました。
大人だから得意とか子どもだから苦手とかそんな事はなく皆んなスタートラインは一緒。コツを掴むのが早いお子さんが親御さんに教えてあげていたりするのが印象的でした。人は教えながら学ぶもの。こういう親子の関係性を作れるのもいいですね。
それでは、他の参加者様の作品も少し掲載させていただきましょう。
テクノロジーを理解するきっかけに。プログラムで作ったものを実際に身につける喜びに。
今回のワークショップを通して、プログラムはゲーム感覚で楽しくできて、刺繍はもちろん発想次第で多くの可能性や学びがある事がわかりました。code to itoの竹村有希さんに、プログラムを使って刺繍をする事の面白さをを聞きました。
プログラミングというと画面の中に収まりがち。でも刺繍というアウトプットをすることで、自分がプログラムしたものを身につけて楽しむ事ができるのは喜びにつながります。
また、プログラミングというと苦手意識をもつ方も多いですが、図形やデザインもプログラムで置き換えられ、刺繍のように手で触れられるものが作られることにより、生活の至るところにプログラムが存在していることに気がついていただけたら親近感も湧くのではないでしょうか。この体験が色々あるテクノロジーの世界を知るキッカケになったらうれしいです。
今回のワークショップでは、線を描く、描画するからのスタートだけれど、他に家の中や街の中、どんなところでプログラミングが動いているんだろう??(何かきっかけがあって処理が動くものってどんなのがある?)を考えたり、もっと世の中を便利にしたり安全、快適に過ごすためにはどんな仕組みがあったらいいのかな〜なんてところまで思い描けられると面白いかな、なども思っています。
漠然と「プログラミングしてみよう」だと、何から手をつければいいのか想像もできませんでしたが、刺繍というキーワードによりぐっと身近な印象を受け興味を持ちました。初めてのプログラムに刺繍もオススメですよ。慣れてきたら刺繍の技術を突き詰めるでもいいし、自分で想像してゲームや音楽のプログラムを考えてもいい。窓は開かれています。
刺繍データのアプトプットや、新しく挑戦してみたい事があったらお近くのファブラボに相談してみてください(浜松の方は下記にリンクを貼ったファブラボ浜松へ)。3Dプリンタ・レーザーカッター・もちろんミシンも。モノづくりの道具がいっぱいあります。
ちなみにウチのムスメは、このワークショップをきっかけに、SCRATCHでサッカーゲームを作っている様子。毎日パソコンを目の前にして「うーん」と悩んでいます。
ゆっくり落ち着いて、トライアンドエラー。失敗は成功へのヒントです。楽しいゲームが完成しますように…。