遠州天狗屋って何者? 可愛くって地元に根差したキャラ、てんぐちゃんのことを知ってほしい。
知っている人は知っている。知らない人は知らない…って当たり前の話ですが、ここでいきなりアンケート。「遠州のてんぐちゃんってキャラクターを知っている方いますか〜。」良かったら手をあげてくださいね。
うんうん、なるほど。って全く画面の向こうの皆さんの姿は見えてはいませんが、な〜んとなくの予想で、割と知っている方は多いんじゃないかなぁ〜って気がします。
SNSを中心に人気のキャラクター『遠州のてんぐちゃん』。Twitter…おっと違った。X(元Twitter)のフォロワーはおよそ20,000人。古くから遠江国(静岡県西部またの名を遠州地方)に住む、遠江天狗(とおとうみてんぐ)の子供という設定のキャラクターですっごく可愛いんですよ〜。
そんなてんぐの子供と、張り子作家の坂田吉章さんによる縁起物作りユニットが遠州天狗屋。てんぐちゃんをモチーフにした張り子や手びねり人形などを作られていて、熱心なファンが地元だけでなく日本各地に…そして世界にもいます。(ちなみに遠州天狗屋は、KOSODATE BASE hamamatsuで少し前に紹介させていただいたハママツクリエーターズフェスにも参加されていました。超大好評でしたよ。)
遠州天狗屋の魅力は、ただ可愛いだけでなく、地元遠州に残る伝説や物語にちなんだ作品を作られていること。例えば去年年末から新年にかけて開催していた新春てんぐちゃん展〜卯〜では、浜松市中区中山町にかつてうさぎ山と呼ばれていた山があったお話と干支のうさぎをかけて人形を作ったりと、地元のことをもっと知ることができるキャラクター作りをされています。
遠州天狗屋に張り子作りの面白さを教えてもらおう。
さて、遠州天狗屋も作っている張り子というオモチャ。何となくなら知っていると思いますが、改めてざっくり説明させていただくと、粘土などで作った型に和紙などを貼り付けて形を作る人形です(ちゃんと説明すると長くなるのでウィキペディアを見てみてください。)。首をふりふりする赤べこや、だるまや起き上がり小法師なども張り子の一種ですね。
この張り子、割と作るのが簡単で、材料さえあればお子さんでも作れるんです。今回は遠州天狗屋のワークショップ『福よせ豆面をつくろう』ワークショップに参加して、ものづくりの楽しさ、張り子作りの魅力について教えていただきました。
会場は鴨江アートセンター。ここは我が家の遊び場の一つです。アートセンターというと敷居が高そうですが、美術館のように静かにしないと怒られるわけではなく、気軽にアートと触れ合える場所です。子どもを対象にしたイベントやワークショップも定期的に開催されているので、チェックしてみてくださいね〜。
福よせ豆面というのは手のひらサイズの小さなお面。お祭りで使われるお面は縁起物として、玄関などに飾ることもありますが、今回は張り子の技法を使ってオリジナルの福よせ豆面を作ってみます。それでは早速やってみましょう。始まり〜、始まり〜。
初日はアイデア出し&紙粘土と和紙で下地を作ります。
今回のワークショップは2日間(2週末)に分けて行われます。まず初日はアイデアを出してどんなものを作るか考え、粘土で型を作り、その上に和紙を貼っていきます。もしよかったら皆さんもやってみてくださいね。夏休みの自由研究にもピッタリかもしれません。必要な素材・道具をリストアップしておきます。
- 紙粘土
- 張り子用の和紙(厚口・薄口、各一枚)
- 習字で使う半紙
- でんぷん糊
- 胡粉
- 絵の具(今回はアクリル絵の具を使用)
- バケツ、パレット、筆
- ラップ
これらの材料のうち『胡粉』という素材は見慣れないと思いますが、貝殻などから作られる炭酸カルシウムを主成分とした顔料です。日本画や民芸品を作るのには割とポピュラーな画材で、ネット通販や画材屋に行けば手に入ると思いますが、面倒だったら白い絵の具で代用も可能だと思います。(乾かすのに時間がかかったり、少し質感が変わりますが。) ※ワークショップでも使用した胡粉ジェッソのamazonのリンクも貼っておきますね。
また、今回使用した和紙は張り子用の和紙で、遠州天狗屋では身延町西嶋和紙の里 紙屋なかとみというお店から取り寄せているそうです。厚口・薄口各1枚づつあれば充分な硬さになりますが、今回のワークショップでは飾り用の豆面ではなく被る用のお面を作りたい参加者がいらっしゃったので厚口2枚で行いました。こちらは代用品が思いつかないので紙屋なかとみさんにご連絡し取り寄せていただくか、新聞を何層にも貼れば代用できるかも?しれません。
アイデアは自由に。複雑な形状のものは再現しづらいので、なだらか〜でふんわりしたものを作るイメージで。細かいディテールは最終の色塗りでそれっぽく仕上げます。
ちなみにこちら。ウチのムスメのラフスケッチ。雲の上で居眠りするうさぎちゃんだそうです。
枕元にはアイマスクが転がってる笑。(実はこの日の前日、昼寝のしすぎでなかなか夜に寝付けなかったんです。なので夜はぐっすり眠れるようにって願いを込めて作るんですって。かわいいね)
ちなみにこちらが私のラフスケッチ。えっとですね…足の裏がガサガサしているので…。足がツヤツヤのぷりっぷりになるようにと…。足の裏のキャラクターにしてみました…。ムスメに比べて何もかわいくない…orz…。
さて、気を取り直して。ラフスケッチに合わせて、紙粘土で形状を再現します。これ、後々わかってくるんですが、後でどうにでもなるので、それっぽくできあがればOK!
紙粘土の上にラップを被せ、水につけた和紙を貼り、さらに半紙を貼り、またその上に和紙を貼って半紙を貼ります。和紙や半紙を貼るときに、紙と紙の繋ぎ目など弱そうな部分に糊をつけたり、全体に糊をすり込んでいくと強度が増しますよ。
これにて初日は終了。1週間乾かしま〜す。
2日目は色を塗って完成させます。もうすぐ完成、がんばるぞ‼︎
さて1週間後、前回同様に鴨江アートセンターで福よせ豆面のワークショップの続きを行います。2週にわたるワークショップだと、他参加者とも何となく顔馴染みになっていて、隣同士で「乾きましたか〜」「いい感じですね」という会話が聞こえてきます。
今日は色を塗って仕上げ。紙粘土の上に貼った和紙はパキパキのミイラのよう。パカっと簡単に剥がれました。
まずはこのお面の下地に胡粉を塗って行きます。
お面は和紙や半紙でゴワゴワゴツゴツしているので、それをならすようなイメージで全体にムラなく塗っては乾かし、塗っては乾かし、塗っては乾かしを約3セット。少しマット調の白地になりました。胡粉は乾きやすくほっとくと筆がカピカピになってしまうので要注意。筆を使わない時は水を貼ったバケツに突っ込んでおきましょう。
次にアクリルガッシュで着色。ここは画用紙に絵を描くのと同じ要領で、デザインラフに合わせて塗っちゃいましょう。多少のミスは気にせずに。それこそが手作りの味ってものです。
それでは参加者の皆さんが作られた、かわいい福よせ豆面を紹介しま〜す。
どれもこれも個性があって素敵。参加者は小さなお子さんから大人まで、みんな一生懸命作りました。
日本の文化『張り子』。張り子って何となく古臭いイメージがありますが、こういうワークショップをきっかけに、日本の文化の面白さ・魅力・親しみを感じることができました。実は今、張り子ってアツくて、かわいい張り子を作る若手作家さんってチラホラいらっしゃるので、ぜひこれをキッカケに張り子の沼に飛び込んでみませんか?(いや、ごめんなさい。沼に飛び込まなくてもいいですが笑) お子さんとものづくりのキッカケにしていただいたり、民芸の魅力に興味を持っていただけたらと思います。
それでは、またこういう機会があったら、一緒に遊んテングよ〜👺
Links
- 遠州天狗屋ホームページ
- 天狗ちゃん下界で遊ぶ(天狗が静岡県浜松市を遊び歩くブログ)
- 遠州のてんぐちゃん X(元twitter)
- 遠州天狗屋┃坂田吉章 & 👺 instagram
- 遠州天狗屋オンラインショップ
- 遠州天狗屋グッズ SUZURI
- 遠州天狗屋 YouTube
- 福よせ豆面をつくろう(鴨江アートセンターイベント紹介ページ)
おまけ。実は今回の工程を説明してくれた動画もあります。
えっと、実はですね。今回の和紙を使った説明動画もありましてね笑。これを記事のどこに挟み込んだらいいか悩んでいたんですが…。「動画の方がわかりやすいね〜」って記事を見ていただけなかったら少し悲しいじゃないですか。なのでおまけ動画としてこっそり掲載しておきます。
さらにおまけ笑。実は100均グッズで作れる張り子動画もあったりします。
なんか、どっかのテレビ通販のようにおまけがついてきますね。でもこれでおまけは最後です。
えっと、これもせっかく記事を書いたのにね。「100均で売ってる道具で張り子を作れるぞ〜‼︎」って一番最初に書いちゃうと、全人類が近所の100均ショップに押し寄せてしまって、せっかく楽しかったワークショップの手順が共有できないじゃないですか。
なんで、ここまで記事を読んでいただいたアナタっ‼︎ そこで自分の事を「私のこと?」って指さしているアナタにだけっっっっ‼︎こっそりお見せしちゃいます。(本当はこっそりでも何でもなくて、普通に公開されている動画です♪)
なんだか、最後はおまけがいっぱいついてきちゃいましたが、今回の記事はいかがだったでしょう。ぜひお子さんも交えて一緒にものづくりに挑戦してみてくださいね〜。