美味しさの理由は、南アルプスから湧き出る『地下水』
浜松市北区都田町に、明治10年創業の豆腐屋「須部商店」があります。南アルプスから湧き出る地下水を100％使用し、自然に恵まれた都田地区の魅力を生かした美味しい豆腐で有名です。
直営の豆腐料理店「川辺の食卓 都田のとうふ 勘四郎」には、できたての豆腐を求めて地元や観光客がたくさん訪れます。
子どもの食育にも取り組む浜松の企業
須部商店では毎年、地元の小学生の工場見学を受け入れています。一般の人も、１０名以上から見学が可能です。
もともと、外部の方も見学ができるようと設計し「見せる工場」を意識した建物です。入口から「劇場」とユニークに表現し、子ども達の好奇心をくすぐります。
工場内は大きなガラス越しから見学することができ、迫力があります。また、食品の衛生管理や安全性を証明する「静岡県ミニハサップ」も取得し、徹底した管理がされています。
工場見学の際は、須部社長自ら写真や図を使って子ども達にもわかりやすいように説明します。ガラス越しでは見えない部分や、より理解を深める為に映像も用意し、字幕や漢字には振り仮名をつけています。
絹と木綿豆腐を作る工程の違いや、職人がにがりを入れて豆腐を固めていく瞬間など、ここでしか見ることのできない映像もたくさんあり、見ているだけでも豆腐博士になれた気がします。
また、踏み台の用意など子ども達への細かい配慮がたくさんあります。
こだわりの豆腐料理店「川辺の食卓 都田のとうふ 勘四郎」
工場から約200ｍの場所に、直営の豆腐料理店「川辺の食卓 都田のとうふ 勘四郎」があります。古民家を改造して2013年にオープンしました。
店内は２階建てで、１階はベビーカーや車いすも通れる広い通路でバリアフリーになっています。おむつ交換台やベビーチェア付きトイレもあり、子連れにも優しいお店です。ランチは数量限定でとても人気なので、予約と早めの来店がおすすめです。
たくさんの豆腐メニューの中で、特に人気メニューは「できたて寄せ豆腐御膳」。できたての熱々豆腐が運ばれてきます。お豆腐を絞らずに詰めているのが特徴で、大豆の甘味と風味が残り、ここでしか味わえない豆腐の美味しさを感じることができます。
豆腐を使ったデザートも人気です。豆乳ソフトクリームや、きなこと黒蜜がかかった豆腐のムースなど、豆腐が苦手な子でも美味しく食べることができます。
「和食のイメージが強い豆腐ですが、材料がシンプルで淡泊だからこそ形や味の変化を楽しめるのが魅力。
お家でも、醤油を甘めの麺つゆに変えたり、黒蜜やメープルシロップなどの甘味と合わせることで全く違う印象になりますよ。」
と豆腐のおススメの食べ方を教えてもらいました。
豆腐の専門店ならではの土産コーナー
店内にあるお土産コーナーには、自家製豆腐や油揚げ、豆腐コロッケ、豆腐ハンバーグなど人気商品が並びます。日替わりで内容が変わる数量限定のお得セットも人気です。
テイクアウトできる豆乳ソフトクリームをはじめ、米粉と大豆で作ったドーナツなどおやつ類も充実し、豆腐や大豆が様々な商品に変わる姿は見ているだけでも楽しめます。
スタッフさんの衣装と帽子には、浜松の伝統織物である遠州麺紬（つむぎ）が使われています。職人の手によって作られる美しい織物と店内の雰囲気はとてもよく似合います。
１４５年続く豆腐の歴史を守る５代目社長
５代目となる須部治さんは、幼少期には毎朝寝室の上に広がる油揚げの煙で目覚めていました。
当時３代目社長のお父様が急逝されたのをきっかけに、大学時代は毎週末に東京から新幹線で帰省しながら工場の職人の元で学び、卒業後すぐに須部商店に入ります。
工場焼失での休業や、前を流れる都田川の氾濫で度々水に浸かったりと、様々な歴史を目の前で見てきた須部さんは
「先代は何度も苦難を乗り越えてきているから、自分も頑張らないといけない。」
そんな気持ちで、須部商店の歴史を大切に守り続けています。
同時に、前途した「勘四郎」のオープンをはじめ、豆腐祭りの開催や新商品開発など、時代に合わせて地域の発展の為に新しいことにもチャレンジしています。
今年の４月には、100％植物系素材を使った「大豆と野菜のやさしい餃子」を地元餃子メーカーとコラボし発売スタート予定です。
豆腐は奈良時代に伝わり、江戸時代には既に「豆腐百珍」というレシピ本が出版されるなど、古くから現代までずっと支持されている食材と言われています。
「日本人に愛され続ける豆腐を、小さいうちから食べてほしい。お家のメニューの中に１品でも豆腐を入れてもらえると嬉しい！」
須部商店はそんな想いで豆腐の美味しさを伝え続けるお豆腐屋さんです。
美味しいお豆腐を食べながら、子ども達に地元に愛されるの歴史ある味を伝えていきたいですね！
