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オンモプラス映画部☆『ダンケルク』

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これまでにない、圧倒的に凄い映画『ダンケルク』

今話題の、クリストファー・ノーラン監督最新作の映画『ダンケルク』を観てきました!

今まで経験したことのない映画で、心底良かったので、初めて観たその夜は興奮が冷めやらず、どうしてもまた観たくなり、翌日に2回目を観に行ってしまいました。
 連日で同じ作品を観るなんて、生まれて初めてのことです。

しかし、そういうのは私だけでは無いようで、ただいま日本全国、『ダンケルク』の嵐が渦巻いています!

 『ダンケルク』って戦争映画でしょ…
そういうジャンルは苦手で…

と敬遠する方にお伝えしたいです。

 派手な戦闘シーン
血や肉が飛び散るグロテスクな戦場
 無惨に横たわる兵士の屍

そういう映画ではありません。

 言うなれば、全く新しい
「体験型・反戦意識向上映画」
とでも表現できる作品です。

「観る」というよりも「体感する」に近い。

 「戦争はいけないこと」と「考える」のではなく、
「戦争怖いよ、怖すぎる!!」と我が身を以って「実感する」。

まさに、そんな今までに経験したことのない感覚が、観る者を魅了するのだと思います。

史実なので結末は明らか…ネタバレありザッと解説

これは第二次世界大戦中、実際にあった作戦について描かれています。
その作戦とは「史上最大の救出作戦」と称された英仏軍の撤退・救出を行う「ダイナモ作戦」。

ナチス率いるドイツがポーランドに侵攻し、第二次世界大戦が始まるのが1939年9月。

 勢いづいたドイツはあっという間に西ヨーロッパの国々を制圧します。
 大陸で戦闘に当たっていた英仏連合軍の若き兵士たちは、ドイツ軍に背後から迫られ、1940年5月、フランス北西部の港町ダンケルクに追い詰められます。

 陸の背後から、目前の海上から、頭上の空から…
ドイツ軍はダンケルクの海岸で包囲された40万人の兵士達を容赦なく襲います。

雑誌『TV Bros.』より画像拝借

 一刻も早く兵士達を救出せねば!と救出作戦が実行されます。
しかし、救出に駆逐艦を出しても、ドイツ軍の魚雷攻撃、空爆で軍備は失われていくばかり…

いよいよ迫り来るイギリス本土決戦も視野に入れると、十分な軍を派遣出来ないという厳しい戦況。

そんな中、漁船や遊覧船・商船などの民間船舶にも、ダンケルクの救出作戦出動を求める政府。

そうして、ドイツ軍戦闘機のメッサ―シュミットがいつ攻撃してくるか分からぬドーバー海峡を、ダンケルクに向けて民間船舶が救出に舵をとりました。

 救出作戦を援護するべく、空でドイツ軍と戦うイギリス軍戦闘機・スピットファイア。何処からともなく現れる敵機。激しい空中戦。

ダンケルクの海岸で、ひたすら救助を待ちながら、必死に生きようとする兵士達。もしくは絶望的になり、自ら入水自殺する兵士…。

そんな生きるか死ぬかの極限状況で、沸きだす人間の強欲・差別…負の感情。

イギリス船による救出作戦だから…と、連合軍同士でありながら、フランス兵よりもイギリス兵の救出を優先しようとしたり、沈みゆく乗船の荷を軽減しようと犠牲を強いたり…

作戦の成果としては、多くの兵士の命を救い、後の戦闘への兵力・軍力の温存に役立った、として評価されたこの作戦。

また、危険を顧みず、仲間を助けるために行動する不屈の精神を、この救出作戦より「ダンケルク精神」と称するようにもなりました。

…そんなダンケルクの救出作戦の史実を描いた作品です。

何がどう「体験型シネマ」なのか…

ノーラン監督はCG嫌いで有名らしいのですが、今作もとことん実写にこだわっています。

本物の戦闘機にカメラを搭載し、戦場さながらの銃撃戦。

それゆえ、役者たちは
「本当に怖かったから、怯える演技をする必要なんて一切なかった。あの恐怖に凍り付く表情は演技ではないし、逃げ惑う動きも本能からだよ。」とインタビューに答えているほど。

また、カメラワークが絶妙です。
当事者でない第3者の視点から、客観的に距離感や位置をとらえるような構図が殆どないのです。

空からの奇襲に逃げ惑う兵士には、敵機の位置を確認する余裕などあるはずもありません。

感じるのは遠くから急降下接近する飛行音、炸裂する爆弾の音、地面の揺れ。

撃沈される船から海上に飛び込み、溺れる兵士の目に見えるものは、水、溢れる重油、迫りくる炎。

徹底的した兵士の目線。

だからこそ、観ている者は、自分も戦場に放り込まれた感覚に陥るのです。

可能ならIMAXでの鑑賞をお勧めします!

通常の劇場でも十分作品の迫力は味わえますが、可能であればIMAXで是非!

というのも、この作品、大部分がIMAX用のカメラで撮影されており、通常のスクリーンに写し出されると、画面の上・下20%、つまり全体で40%減のボリュームになってしまうのです。

このIMAXスクリーンの大きさを見ていただけると分かりますが、スクリーンの高さは床から天井まで!!

また音響効果もかなりスゴイです。
全方位に設置されたスピーカーが、最大限に活かされるのです。

上空から急降下する戦闘機音は、頭上から響き頭の後ろへ抜けていきます。

銃声も、まるで銃弾が耳の横をかすめたかのように、前方から後方へ一瞬で通過するのです。

大音響で座席が振動するほど。
そうなれば、地面に着弾した際の地の揺れも体感できるのです…

これは、本当に戦場その場にいるような恐怖です!

でも、だからこそ心底思うのです。
「あぁ、もう嫌だ~!早くここから逃げ出したい!!」と…

これぞ、まさに劇中の兵士たちが感じていること。

「観客がこの心理状態に耐えられるのはどれくらいか…」
ということを考えて、ノーラン監督作品にしては短めの106分という上映時間に収められた、というのも納得です。

作品はPG‐13。
保護者の監督の元であれば13歳以下の子どもも鑑賞できる、ということです。

「戦争は怖い!!絶対にイヤ!」という感覚を植え付けたい、と考えるなら、子どもと一緒に見るのもアリだと思います。

最後に…作品を観る方へのアドバイス

この作品、陸・海・空と3視点から描かれていますが、
それぞれに時間枠が異なります。

陸:兵士達がダンケルクの海岸に追い詰められてからの1週間
海:民間船がイギリス本土からドーバー海峡を渡り、兵士を救出し本国に戻るまでの1日
空:ドーバー海峡上を航行する民間船や駆逐艦を守るため、イギリス空軍の戦闘機が空中戦を繰り広げながらダンケルクに着陸するまでの1時間

それぞれの視点が交差しながら話は展開していくので、同じタイミングの出来事が、陸・海・空の3つの視点から映し出されるのです。

それをちょっと頭の片隅に置いておくと、混乱することはないと思います。

未だかつて経験したことのない、映画体験をしてみませんか?

では、素敵な映画の旅を…(笑)

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